つんく♂たいせいまことはたけよしお
妻と息子に先立たれたじいさんは 別に誰に嫌われているわけでもなしに
ひとりぼっちで暮らしていた
冬は雪に覆われ孤立する
それでも寂しくなり雪を越え墓参りをし
早く自分を迎えに来てくれるよう祈った
節分の日にじいさんは
かつて家族との楽しい思い出のある豆を見つけた
愛する妻も息子もいない
自棄になったじいさんは
「鬼は内 福は外」
わざとあべこべに叫んで豆を撒いた
そのうち豆が無くなって じいさんはその場にへたへたと座り込んだ
「おばんです」「おばんです」
誰かが戸をたたく
誰かと思って戸を開けりゃあ
節分により行き場を失った鬼二人がにやにや笑いながら立っていた
その後も「鬼は内」を聞きつけた鬼たちが集まり
じいさんの家は今までないくらい賑やかになった
鬼たちは恩返しにとじいさんの願いを聞くという
じいさんは「甘酒やらご馳走があればもっと楽しく盛り上がる」といい
鬼たちはあちこちからご馳走だけでなく金銀財宝を持ってきた
鬼たちとの楽しい宴会も終わり、残ったのはお宝
そのお宝で妻と息子の墓もずいぶんと立派になった。
じいさんはその墓に向かって
「迎えはもう少し待ってくれ。また来年も鬼たちと約束をした」と
微笑むのだった
これが「節分の鬼」という話じゃ